グロースマーケティングとは?
グロースマーケティングとは、広告効率だけでなく、獲得から紹介までの顧客体験全体を実験で改善し、売上を伸ばす手法です。

広告費を2倍にしたのに売上がそれほど伸びなかったなら、問題は広告ではなく、広告の「その後」にある可能性が高いでしょう。流入した人が登録せず、登録した人が戻ってこなければ、広告費は穴の空いたバケツに注ぐ水になってしまいます。グロースマーケティングは、この「広告のあと」の区間を数字で分解し、実験で直していく手法です。
グロースマーケティングとは何か
グロースマーケティングとは、顧客がブランドを初めて知った瞬間から、再購入して誰かに薦める瞬間まで、顧客体験全体のコンバージョン指標を実験で改善し、成長をつくるやり方です。広告で人を連れてきて終わりではなく、連れてきた人が定着し、お金を使い、さらに別の人を連れてくるところまで責任を持ちます。
この考え方は2010年、ショーン・エリス(Sean Ellis)がブログ記事「Find a Growth Hacker for Your Startup」で「グロースハッカー」という言葉を使ったことで広まりました。彼はグロースハッカーを、成長を唯一の基準とし、あらゆる活動を成長への影響で評価する人と定義しました。エリスはDropbox、Eventbrite、LogMeInなどの初期成長を担ったマーケターです。
グロースマーケティングはチャネルではなく、働き方です。
グロースハックと同じものなのか
ルーツは同じですが、使われ方が少し異なります。グロースハックは、初期のスタートアップが少ないコストで素早くユーザーを増やした巧妙な戦術を指すことが多いです。グロースマーケティングは、その考え方を組織の中で毎週繰り返す運用の仕組みとして定着させたものに近いと言えます。
パフォーマンスマーケティングと何が違うのか
パフォーマンスマーケティングは、グロースマーケティングの中に含まれる一部分です。パフォーマンスマーケティングが「顧客をいくらで連れてきたか」を問うなら、グロースマーケティングは「連れてきた顧客がいくら残したか」を問います。そのため、同じ広告成果を見ても次の打ち手が変わります。
| 区分 | パフォーマンスマーケティング | グロースマーケティング |
|---|---|---|
| 目標 | 広告成果(クリック・CV)の最大化 | 事業成長指標(アクティブ顧客・売上)の最大化 |
| 対象範囲 | 流入と初回コンバージョン | 認知から再購入・紹介までの全区間 |
| 主要指標 | CTR, CPC, CPA, ROAS | アクティベーション率、リテンション、LTV、LTV/CAC |
| 主な手段 | 広告媒体、クリエイティブ、ターゲティング | 広告+オンボーディング、CRM、価格、製品機能、紹介プログラム |
| 仕事の単位 | キャンペーン | 仮説 → 実験 → 学習の繰り返し |
| 関わるチーム | マーケティング部門中心 | マーケティング、プロダクト、開発、データ |
たとえばROASが下がったとき、パフォーマンスマーケティングはまずクリエイティブとターゲティングを変えます。グロースマーケティングは同じタイミングで、登録後7日以内に離脱する割合から確認します。問題が広告ではなく最初の体験にあるなら、広告をいくら直しても数字は戻らないからです。
グロースマーケティングはどんな順序で回るのか
グロースマーケティングは2つのフレームで回ります。何を見るかはAARRRファネルで決め、どう直すかは仮説–実験–学習のサイクルで決めます。ファネルの中で最も大きく漏れている1区間を見つけ、その区間だけを実験で直すことを毎週繰り返す構造です。
AARRRファネル:どこが漏れているかを見る
AARRRは、投資家デイブ・マクルーア(Dave McClure)が2007年に発表した「Startup Metrics for Pirates」から生まれたフレームです。顧客体験を5つの段階に分け、段階ごとに1つの問いと指標をひも付けます。
| 段階 | 問い | 代表的な指標 |
|---|---|---|
| 獲得(Acquisition) | 顧客はどこから来るのか | チャネル別流入数、CAC(顧客獲得コスト) |
| 活性化(Activation) | 最初の体験で価値を感じたか | 登録完了率、主要アクション実行率 |
| 継続(Retention) | また戻ってくるか | 7日・30日再訪率 |
| 収益(Revenue) | お金を払うか | 決済コンバージョン率、顧客あたり売上 |
| 紹介(Referral) | 他の人を連れてくるか | 招待送信率、招待あたり登録数 |
段階の順番は上から下ですが、直す順番は通常その逆です。継続率が低いまま獲得を増やしても、穴の空いたバケツに水を足すだけです。まず活性化と継続を確認し、その後に獲得予算を増やすほうが安全です。
実験サイクル:一度にひとつずつ直す
- 01
分析
ファネルで離脱が最も大きい区間をひとつ選ぶ。
- 02
仮説
その区間を改善するアイデアを集め、ICEスコア(影響度・確信度・実行の容易さ)で優先順位を付ける。
- 03
実験
A/Bテストで検証する。期間と目標指標は開始前に決めておく。
- 04
学習
結果を記録し、勝った案を適用して、次の仮説へ進む。
ICEスコアと週次の実験サイクルは、ショーン・エリスとモーガン・ブラウンが2017年の著書『Hacking Growth』でまとめた方法です。大切なのは実験の成功率ではなくスピードです。失敗した実験も「この区間の問題はこれではない」という学びを残します。
実際に成果を上げた事例は何か
最もよく引用される事例は、Dropboxの紹介プログラムです。広告では採算が合わなかったため、友人を招待すると招待した人とされた人の両方に無料ストレージを付与する仕組みに切り替えました。その結果、15か月で登録者数は10万人から400万人に増え、1日の登録者の35%が紹介経由で入ってきました。
15か月
紹介プログラム導入後の期間
10万 → 400万
登録者数
35%
1日の登録者に占める紹介経由の割合
まず広告を試したが、うまくいかなかった
Dropboxも最初は、テックカンファレンスでの発表、検索広告、PR会社といった定石を踏みました。しかし検索広告の顧客獲得コストは233〜388ドルで、99ドルの商品を売るには割に合いませんでした。アフィリエイトやディスプレイ広告も成果が出ませんでした。
報酬を製品の価値に結び付けた
この事例の核心は、現金ではなくストレージ容量を報酬にした点です。報酬そのものが製品をもっと使わせ、フォルダ共有という本来の使い方が招待を自然なものにしました。AARRRで見れば、紹介(Referral)の段階を直して獲得(Acquisition)コストを下げた構造です。
CREATIPが直接確かめた事例
CREATIPは総合家具メーカーFURSYSの統合マーケティングコミュニケーションを手がけ、ブランディングを通じて売上の成長に貢献し続けています。
DESKERではパフォーマンスマーケティングを担当し、広告クリエイティブとターゲティングをさまざまな組み合わせでテストしたうえで、ブランドに合った組み合わせで広告を運用しました。その結果、前年比でコンバージョン率、クリック率、広告費用対効果がそろって改善し、売上規模の拡大に貢献しました。
iloomでは、SNSを軸にした動画キャンペーンとコンテンツを運用してブランドイメージを改善し、コンテンツを通じて顧客との関係を築く取り組みを続けています。ひとつは実験でコンバージョンを引き上げ、もうひとつはコンテンツで再び訪れる理由をつくるやり方です。
私たちのチームは何から始めるべきか
新しいツールや組織変更よりも、いま手元にあるデータでファネルの数字を埋めることが第一歩です。5つの段階のどこが最も大きく漏れているかが分からなければ、どの実験にも優先順位を付けられません。最初の1か月の目標は成果ではなく、「実験をひとつ最後までやり切ること」に置くのが現実的です。
- 01
ノーススター指標をひとつ決める
売上と最も連動して動く顧客行動をひとつ選ぶ(例:週あたりの購入顧客数)。
- 02
ファネルの数字を埋める
直近30日を基準に、AARRRの5段階それぞれのコンバージョン率を書き出す。
- 03
最も大きく漏れている区間を選ぶ
離脱率が最も高い1区間だけを今月の課題にする。
- 04
2週間の実験をひとつ回す
仮説ひとつ、目標指標ひとつでA/Bテストを行い、結果を記録する。
いちばん大きな漏れだけを、一度にひとつずつ。
あなたのブランドのファネルは、どこで漏れているでしょうか?CREATIPと一緒に診断してみませんか。
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